

「ウエスタンレッドシダーの温かみのある色調と感触は、緑が不足する都市部において自然との繋がりを提供します」-建築家 ジェームズ・ロックウッド
建築設:ID Architecture
構造設計:Mason Clark Associates
施工:Voase
写真:Andy Haslam
「歴史的なレンガ倉庫群の中に浮かぶ、多面体のウエスタンレッドシダーの宝石」。建築家のジェームズ・ロックウッド氏は、イギリスのハル市にある歴史的な果物マーケット地区に誕生した圧巻の建物をこう表現します。使われなくなった倉庫が、活気ある音楽ホール兼クリエイティブハブへと生まれ変わったのです。
このプロジェクトには、保存地区の豊かな建築遺産を尊重しつつ、大胆に新しい要素を導入するという、繊細でありながら現代的なアプローチが求められました。ウエスタンレッドシダーは、見た目の美しさと実用性の両面を備えた理想的な素材として採用されました。

音響性能は最優先課題でした。拡張された会場は周辺の新規開発区域への音漏れを防ぐ必要があったからです。ウエスタンレッドシダーで全面を覆った高断熱木造フレーム構造は、断熱性と遮音性の両方を高めています。シダーの豊かな音響特性、真っ直ぐな木目、加工のしやすさ、寸法安定性、そして抜群の自然耐久性は、複雑な多面体のデザインに最適な選択となりました。その耐候性も重要な要素であり、ハル市の沿岸気候にも耐えうることを保証しています。
シダー材の使用は音楽ホールに留まらず、外壁と後部の非常口にも使用しています。全体の統一性を確保するため、シダーのサイディングは、すでに存在する店舗の入り口上部にも導入され、伝統ある建物に新しい要素が融合しています。

レンガ造りの建築物が連なる街並みに、木材を導入することに当初は懸念もありましたが、建築家のビジョンは最終的に支持を得ることになりました。
「多面体のファサードは、石造りでは実現が困難であり、隣接する建物との視覚的対比も得られなかったでしょう」とロックウッド氏は説明します。「ウエスタンレッドシダーの選択は、自然素材を称えると同時に、隣接する建物がそれぞれの個性を輝かせるための印象的な対比点となっています」。
その結果、都市再生における持続可能な建築材料の可能性を示す、特徴的でありながらも調和する存在となりました。
ウエスタンレッドシダー仕様